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目黒区立図書館基本方針素案(HTML版)

目黒区立図書館基本方針素案

目黒区立八雲中央図書館
平成28年11月

1 策定の目的 
 目黒区立図書館は、平成9年に新中央館の役割などを示した「目黒区図書館の基本構想」を策定し、平成14年の八雲中央図書館の開設をもって現在の8館体制による図書館サービスの実施に至りました。現行体制の始まりから十数年を経て、目黒区立図書館は昨今の少子高齢社会の中で、グローバル化や高度情報化の進展、インクルーシブ社会*1の形成に向けた取り組みなど直面する様々な課題や多様化する区民ニーズに適切に対応することを求められています。
 また、「図書館法」(昭和25年法律第118号)では、平成20年の改正により、第七条の二として、「文部科学大臣は、図書館の健全な発達を図るために、図書館の設置及び運営上望ましい基準を定め、これを公表するものとする」と定められました。
 これを受けて国は、「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」(平成24年文部科学省告示第172号)により、区市町村立図書館は、事業の実施等に関する基本的な運営の方針を策定し、公表するよう努めるものとしました。
 図書館サービスは多岐にわたり、区民の生活に密接に関わっています。区民の生活を多方面にわたりサポートし、その質的な充実に資することができるよう、今後の目黒区立図書館のあるべき姿・方向性を、公募区民・学識経験者を含む検討委員会において論議し、新たに「目黒区立図書館基本方針」を策定することとしました。
     

2 目黒区立図書館の現状
 目黒区立図書館は、平成6年の全館コンピュータ・ネットワーク*2(オンラインサービス)の整備、さらに平成14年のインターネット上の目黒区立図書館ホームページの開設により、区内全域での均一な図書館サービスを展開しています。
 全館の資料を一元的に収集・活用・保存する体制の確立と、それを支える配本車*3による資料の移送システムの整備、さらには場所・時間を問わずホームページから図書館資料の情報にアクセスできるインターネットサービスの構築により、すべての図書館での均一なサービスが実現し、貸出予約などの資料提供において区民及び利用者の読書・情報・文化活動に寄与しています。
 また、目黒区立図書館は、誰にでも同等のサービスを提供することを原則としていますが、それぞれに固有な配慮が必要な乳幼児、児童、YA(ヤングアダルト、中高生)*4、高齢者、障害者、外国人向けに利用対象者別サービスを行っています。
 特に、子どもの読書活動の推進、学習支援については、乳幼児と保護者を対象に保健センターなどにおいて実施している「はじめての本とのふれあい事業」や、各図書館で定期的に読み聞かせを行う「おはなし会」、小中学校に対し学習テーマに沿った長期の貸出を行う「団体貸出」などの事業を行っています。
 また、地域の資料・情報を収集・活用・保存することにより、地域の活動を支援しています。

 
3 基本となる理念
 目黒区立図書館は、すべての国民に図書館利用の権利を保障するという公立図書館の基本理念*5を踏まえ、目黒区基本計画が掲げている「人権と平和を尊重する」「環境と共生する」「住民自治を確立する」*6の三つの基本理念が地域社会に実現され、「豊かな人間性をはぐくむ文化の香り高いまち」*7を区民一人ひとりが実感できる、住みたいまち、住み続けたいまち目黒*8を目指し、図書館サービスを提供する役割を果たしていきます。
 
 
4 目指す方向性
 目黒区立図書館の基本となる理念の実現に向けて、次の五つの方向性を定めます。
 
○知・文化の拠点となる
○交流の場と暮らしの情報の提供により生活の質を高める
○区民・利用者一人ひとりの役にたつ
○子どもたちを本の世界にいざなう
○地域とつながる

5 重点的な取り組み
 目黒区立図書館として、目指す方向性に沿って、重点的な取り組みを進めていきます。

○知・文化の拠点となる
 資料の充実を図るとともに、貴重な地域資料や行政資料の収集・活用・保存により一層努めます。また、他の図書館との相互協力*9、インターネットメディア*10、データベース*11など多種多様な情報手段の検討・活用を図ります。
 さらに、これらの資料や情報源を生かしたレファレンスサービス*12の質を高め、より的確に区民・利用者の求める情報を提供し、「文字・活字文化」*13を中核とする幅広い文化活動に出会う、知・文化の拠点としての図書館づくりを目指します。
 
○交流の場と暮らしの情報の提供により生活の質を高める
 インターネットメディアの活用による図書館からの情報配信や、区民・利用者の交流を深めるイベント開催など、異なる世代、異なる文化の人々がともに参加できる機会の提供によって、利用者と図書館、利用者と利用者など多方向な交流を促し、新たなふれあいを創造できるような場の提供を目指します。
 また、地域の身近な情報*14など、日々の暮らしに有用な情報を広く収集し、区民・利用者に提供していきます。
 これらの場と情報の提供により、人々の生活の質をより高め、住みよく活力のあるまちづくりに貢献することを目指します。
 
○区民・利用者一人ひとりの役にたつ
 乳幼児から高齢者まで、様々な人に対応したサービス*15をより充実させていく中で、図書館のタイムシェア*16など多様な利用形態に合わせた運営の工夫により、区民・利用者のそれぞれのライフステージ*17に即したサービスの提供を目指します。
 また、これからの新しい図書館サービスの可能性を探ることにより、図書館を利用する機会のない方や少ない方にも働きかけ、より多くの人の図書館利用や読書活動の促進を目指します。

○子どもたちを本の世界にいざなう
 子どもたちが乳幼児期から、よりよい形で本に親しむことができるよう、学校、子育て施設、生涯学習施設など、子どもに関係する機関や人々、またボランティア*18との連携を強化し、今後とも積極的に子どもの読書活動の推進に取り組みます。
 併せて、子どもが自らの課題や目的に応じて、多様な情報を適切に活用する力を身につけ、自発的・主体的・対話的な学習活動を行うことができるよう様々な資料を収集・提供し、子どもたちの活動を支援することを目指します。
 
○地域とつながる
 ボランティア、区民・利用者との相互協力関係を発展させ、教育機関や子育て施設、様々な公的機関や民間の事業者など、多様な組織との新たな連携を模索していきます。
 また、子ども向けに、地域の歴史や現在のすがたを紹介する資料を作成するなど、未来を担う子どもたちが自分たちの地域に親しみを持てるよう支援します。
 そして、地域に根差した特色のある図書館づくりを行うことで、知・文化の拠点として、また交流の場として、地域の課題解決のための資料やレファレンスサービスを質的に向上させ、地域コミュニティの形成にも資する場として機能することを目指します。

6 より良い図書館の実現に向けて
 地域の発展のため、図書館は多様な情報を収集し、地域に還元することが求められています。一方、図書館の発展のためには、図書館と区民・利用者が密接な情報交換を通じて、ともに考え、ともに協力していくことが重要です。
 目黒区立図書館は、地域の情報拠点として、また、人々の交流の場としての役割を一層発展させるため、この「目黒区立図書館基本方針」に基づき、重点的な取り組みを進めながら、区民に親しまれる図書館運営に努めてまいります。

出典・用語解説

* 1 インクルーシブ社会
  あらゆる人が孤立したり、排除されたりしないよう援護し、社会の構成員として包み、支え合う社会のこと。

* 2 全館コンピュータ・ネットワーク
  資料情報・利用者情報・貸出情報等をコンピュータシステムに取り込み目黒区立図書館各館を専用回線で結び、利用者がどの図書館からも検索・予約・貸出・返却できるようにする仕組みのこと。

* 3 配本車
 目黒区立図書館各館を結び、新しい資料、予約された資料、利用されなくなった資料、取寄せた資料などを運ぶ専用車のこと。
  目黒区では、火曜日~日曜日の午前午後の2便運行されている。
  その他に、週3回各館に大量の資料を送付する資料便がある。
  また、都立中央図書館との相互便も週3便運行されている。

* 4 YA(ヤングアダルト、中高生)
  児童と成人の間の、中学生と高校生の時期の利用者のこと。
中高生が必要とする資料や利用形態を考慮して、目黒区立図書館では専用のコーナーを設置している。
  また、交流のために広報誌「OMAKE no いっぽ」を中高生を中心としたボランティアで編集・発行している。

* 5 公立図書館の基本理念
 出典:図書館の自由に関する宣言
 (昭和29年採択 昭和54年改訂)
     教育基本法 第三条、第四条
     (平成18年12月22日法律第120号)
     社会教育法 第一条、第三条
     (昭和24年6月10日法律第207号、
     最終改正:平成28年5月20日法律第47号)
     図書館法 第一条
     (昭和25年4月30日法律第118号、
     最終改正:平成23年12月14日法律第122号)
     ユネスコ公共図書館宣言 公共図書館(平成6年11月採択)
* 6 「人権と平和を尊重する」「環境と共生する」「住民自治を確立する」
  出典:目黒区基本計画 第3節 計画の方向 第1 計画の基本理念(平成21年10月)

* 7 「豊かな人間性をはぐくむ文化の香り高いまち」
  出典:目黒区基本計画 第3節 計画の方向 第2 基本目標1
     (平成21年10月)

* 8 住みたいまち、住み続けたいまち目黒
  出典:目黒区基本計画 「住みたいまち、住み続けたいまち目黒」の実現に向けて(平成21年10月)

* 9 他の図書館との相互協力
  都立中央図書館を中心とした、都内公共図書館の相互貸借のネットワークのこと。
  都内の他自治体にある目黒区未所蔵の資料を借り、また、目黒区に所蔵があり他の自治体に所蔵の無い資料を貸す。
  都内公共図書館では用意できない資料については、国会図書館、他府県の図書館、専門図書館や大学図書館などと連携し、可能な限り資料の相互貸借を行っている。

*10 インターネットメディア
  図書館ホームページ、掲示板、ブログ、SNS(ソーシャルネットワークサービス)などの、インターネットを通して情報を発信、または相互コミュニケーションの構築を行う仕組みのこと。

*11 データベース
  目黒区立図書館には、朝日新聞の「聞蔵」、読売新聞の「ヨミダス」、中日新聞・東京新聞記事データベースなどの新聞記事データベースや、法情報総合データベース、ジャパンナレッジ(辞典・事典データベース)、国立国会図書館歴史的音源、国立国会図書館デジタル化資料など、情報収集のためのコンピュータデータベースが用意されている。
  八雲中央図書館にデータベース専用端末が設置されているので、利用には八雲中央図書館への来館が必要。

*12 レファレンスサービス
  利用者から、調べている事や資料について聞き取りをし、課題解決のための情報を提供するサービスのこと。参考業務ともいう。
  図書館では、鑑定、診断などの意思決定や判断はできないが、相談者が課題を解決するための情報を幅広く提供し、判断材料を揃えて解決の支援を行う。

*13 「文字・活字文化」
  出典:文字・活字文化振興法
     (平成17年7月29日法律第91号)

*14 地域の身近な情報
  郷土資料、古文書、地図、行政資料、目黒に関するパンフレット、催し物などのチラシ、目黒区関連情報が掲載されている折り込みチラシや新聞切抜きなど。

*15 様々な人に対応したサービス
 目黒区立図書館では、活字形式で日本語で書かれている本や雑誌など、一般的な資料の利用が困難な方々に対して、以下のような多様なサービスを提供している。
 乳幼児⇒おもちゃ・赤ちゃん絵本コーナー・赤ちゃんおはなし会
 高齢者⇒大活字資料コーナー
 障害者⇒録音資料・点字資料・デイジー資料・大活字資料コーナー
     ・拡大読書器・対面朗読・配本サービス
 外国人⇒外国語資料コーナー・外国語利用案内・外国語ホームページ

*16 図書館のタイムシェア
  図書館開館中の時間を区切って、利用者にとって使いやすいように対象者を分けること。
  幼児を連れた家族連れが、他の利用者に気兼ねなく利用できる時間帯を設けるなどの配慮をする。

*17 ライフステージ
  人間の一生における幼年期・児童期・青年期・壮年(成人)期・老年期などのそれぞれの段階のこと。
  図書館の利用形態は利用者の各ライフステージにより変化するので、それぞれに対応するサービスが必要とされる。
  幼年期は保護者と来館し、大人の読み聞かせによって絵本等を読む。
 児童期から自分で好きな本を選んで読むようになり、青年期、壮年期と利用する資料が変化する。子どもができれば、その子のために絵本や児童本を再び利用し、老年期になれば、また利用する資料が変化する。
  また、人生のいろいろな出来事(入学、就職、転居、結婚、出産、相続等)により、必要とされる情報が変化し、利用する資料も変わっていく。

*18 ボランティア
  目黒区立図書館では、おはなし会の読み聞かせグループ、音訳グループ、点字作成グループ、YA広報誌編集者などのボランティアが活動している。